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矯正治療について

矯正治療を希望する患者さんのほとんどは、不正咬合(咬合異常)による審美的障害を訴えて来院します。これは不正咬合による口腔機能の障害が、極端な症例を除き、一般にいろいろな補償機能が働き、日常生活ではそれほど自覚されないためと思われます。しかし患者さんをよく診査してみると、いろいろな生理的、または病理的な障害を引き起こしていることがわかります。したがって矯正治療の目的は、単に不正咬合による審美的障害を取り除くだけではなく、くわえて正常な口腔機能が営めるような咬み合わせを確立することにあります。
歯には、力を加えられると力が加えられた方向に移動する性質があります。その性質を利用して、適合する矯正装置を装着、歯に一定の力を持続的にかけて少しずつ動かし、悪い歯並びや噛み合わせ、いわゆる不正咬合(咬合異常)を治すのが歯列矯正です。
ただし、不正咬合(咬合異常)のほとんどは、もともと正常だったものが崩れたのではありません。大人の方で歯並びや咬み合わせに異常のある人の多くは、子どもの時から異常を有していることが多いのです。よって、矯正治療とは「元の状態に戻す」ではなく「理想の状態を新たに創りだす」治療といえます。
したがって矯正治療では、まず個々の患者さんにとっての理想を明確にする必要があります。そしてその理想を実現するためには、豊富な経験、知識に加えて高い芸術的センスが要求されます。
治療を施す歯科医師によって結果にばらつきがでてしまうのは、矯正治療が『科学』であり『芸術』だからなのです。



