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矯正治療のために歯を抜くのは正義か?

矯正歯科ブログ

最近、関心を寄せているテレビ番組が本になったので買ってみました。
ハーバード大学サンデル教授の政治哲学の講義で、非常に人気があるそうです。

1人殺すか、5人殺すかかを選ぶしかない状況におかれた際、1人殺すのを選ぶ事を正当化する立場が功利主義だ。
これで話が済めば万事合理性(計算可能性)の内にあると見える。
ところがどっこい、多くの人はそんな選択は許されないと感じる。
なぜか。
人が社会に埋め込まれた存在だからだーサンデルの論理である。

矯正治療の場では、良好な顎口腔機能を獲得するために、健康な歯を抜歯しなければいけないことがあります。
これは、咀嚼・発音機能、見た目の向上といったほかに、4本の歯を犠牲にすることで24本の歯の寿命を延ばす目的を有します。
功利主義的には正義といえそうですが、一般的に歯を抜きたくないと思うのは正常な感覚でしょう。

では、人はなぜそう感じるのか。
一つは、近代の歯医者さんが『歯は大事』『できるだけ歯を残しましょう』とみなに指導してきたことも関わっているように思えます。

一般的な歯科の立場から見ると、これはまさしく正義です。
ただしこれは、矯正治療にて歯を動かすことができない場合、歯を抜いた後隣りの歯を削ってブリッジになり、削った隣の歯もだめになり(削った歯の寿命は一般的に短くなることから)、やがては入れ歯になるのでは、ということを危惧してのことなのです。
つまり、一般歯科の立場でも口腔機能を長持ちさせるために歯を抜くなと言っているわけですね。

一見、目指すゴールは一緒と思えます。
ところが、抜く、抜かないといった現象だけをみると、
正反対のように思えてしまう訳です。

では、なぜ同じゴールの歯科医療で正反対の解決策が生じるのでしょうか?

一般歯科領域では基本的に歯を動かすという選択肢はありませんし、医療の目的が『元の状態に戻す』ことにあります。現在では優れたインプラントが存在しますが、それとて元の状態を目指したものであり、本来の自分の歯の性能には及びません。
それに対して、矯正歯科では『元より良い状態にする』ことにありますので、顎口腔系の健康を目指すといった大きな目的は一緒でも、狭義でのゴールは異なりますし、なによりそこへ至るためのプロセスが大きく異なるのです。

つまり、歯を動かす選択肢があるかないかが一番の相違点のように思えるのです。

こういったことから、現代の医科学では、矯正治療のための抜歯は正義と捉えるしかないのではないでしょうか。
いつか、全ての矯正治療で歯を抜かずに済む時代がくることを期待しましょう。

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