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非抜歯矯正を推奨

矯正歯科ブログ

非抜歯矯正を推奨する医院でこんな記事を見つけました。

1.歯並びを気にして矯正歯科を受診
2.虫歯もできにくくなり、口もとも上品になる、と良いことばかりを説明され、矯正治療を受けた。
3.当初2年の予定が4年かかった。
4.数本の歯の神経が死んでしまい、顎関節症を発症した(無理な力で歯を動かしたことが原因と考えている)
5.歯並びが悪くても健康に暮らしている人にとってはメリットよりデメリットが大きくなる危険性がある、ということを矯正医は知るべきだ。

といった内容の記事写真が掲載されていました。
抜歯矯正を批判する材料に引用しているのでしょうが、
ここでの問題点は、
治療を施す歯科医師と患者との間できちんと意思疎通がとれていないこと、なのではないでしょうか?


最近は『家庭の医学』やインターネットなど、医学情報がわりと簡単に手に入るようになりましたが、
これはある意味大変な危険性をはらんでいます。
医師や歯科医師は6年以上の専門教育を受け、さらに自分の進んだ分野で数年の教育を受けます。
そうして医療のその道のプロになっていくわけで、各疾患の本質については素人である患者さんには到底分かり得ません。
そういった状況で、つまり中途半端な知識で物事を判断すると取り返しのつかない事態に陥る危険性が生じる可能性があります。

かといって、何も分からない状態で、医師に全ておまかせします、というのも不安でしょう。
そういう場合はインターネットや本に頼らず、直接医師や歯科医師に疑問をぶつけましょう。
ひとつの限られた疾患であれば、限られた時間内でかなり本質にせまることが可能です。

医師を100%信じきっているならともかく、そうでない場合に疑問をもったまま治療を受け続けると、上記のような記事を新聞に投稿して、一生後悔して生きることになってしまうのです。


さて、上記の記事内容に話を戻しますと、

2.虫歯もできにくくなり、口もとも上品になる、と良いことばかりを説明され、矯正治療を受けた。
?矯正治療を受けて虫歯ができにくくなる、といった科学的根拠はありません。
3.当初2年の予定が4年かかった。
?矯正の治療期間は平均的な速度で歯が動いて、患者さんの顎間ゴムなどの良好な協力が得られた場合を前提に算出します。よって治療予定期間2年と言われて2年ちょうどで終わる人は少なく、1年11か月だったり、4年6か月だったり、体年齢や協力度などによって差がでるのは至極当然です。
4.数本の歯の神経が死んでしまい、顎関節症を発症した(無理な力で歯を動かしたことが原因と考えている)?歯の神経が矯正力で死んでしまう、とうい現症は無いとはいえませんが、ごく僅かでしょう。また、顎関節症と矯正治療の因果関係はない、というのが現代歯科矯正学の考えで、実際『矯正治療を受けた人』と『矯正治療を受けたことが無い人』間の疫学的調査では、顎関節症の発症率に差がでていません。
5.歯並びが悪くても健康に暮らしている人にとってはメリットよりデメリットが大きくなる危険性がある、ということを矯正医は知るべきだ。
?科学的にデメリットの方が大きくなるといった根拠はなく、デメリットの方が大きいことがあれば、そもそも矯正治療など存在できません。


以前にもどこかで書きましたが、現存する全ての医療行為は本質的に不完全です。
メリットもあればデメリットもあります。
良く効く薬も必ずなんらかの副作用があります。
つまり、メリットとデメリットを比較して、メリットの大きいと思われる治療法を選択する、というのが現代医学の良策といえます。
デメリットについて医師側が説明をしていなかったとしたら、その医師は医療人としての義務を果たしていないことになるでしょう。
ただ、今回のようなケースでは、患者さんも次のことをよく考えてみる必要があると思われます。
(1)治療によって生じたデメリットについて、本当に治療によって生じたものなのか検証したか。
(2)本当にデメリットの方が大きいのか。治療によって得たメリットと比較検討したか。

こういった検証をしなくても済むように、医療を施行する側される側、ともに疑問点をクリアーにしながら進めていくことが大事であろうと、再認識させられた記事でした。

今の治療に納得がいかない、そんな時は勇気を出してセカンドオピニオンを。矯正歯科飯島クリニック

 

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